じんわりと香る硫黄のにおいと、白く濁った乳白色の湯。「これぞ温泉!」と実感できる、あの硫黄泉が今回のテーマです。古くから湯治の湯として親しまれ、疲れをいやす一杯として通われてきた湯なんですよね。
関東でいちばん総硫黄濃度が高い宿は、群馬・万座温泉の万座ホテルジュラク。温泉分析書に記載された総硫黄は約286mg/kgと、関東でも屈指の濃さなんです。
このランキングは、各宿の温泉分析書に記載された総硫黄(mg/kg)をもとに、数値が公表・算出できる宿だけを濃い順に並べたもの。口コミや「なんとなく濃い気がする」ではなく、成分表の数字でランキングづけしているのがポイントです。同じ温泉地でも源泉ごとに濃さが変わるので、温泉地単位ではなく宿(施設)単位で紹介していきますね。

①【まとめ】関東の硫黄泉・総硫黄濃度ランキング(TOP10)

順位宿名温泉地(都県)総硫黄 mg/kg
1万座ホテルジュラク万座温泉(群馬)286
2UNWIND奥日光奥日光湯元温泉(栃木)約119.3
3元泉館塩原温泉(栃木)約88.5
4鹿の湯那須温泉(栃木)約83.3
5ミノヤ奥日光湯元温泉(栃木)約62.3
6渓雲閣奥塩原新湯温泉(栃木)約52.5
7万座温泉日進館万座温泉(群馬)約43.1
8万座プリンスホテル万座温泉(群馬)約36.1
9ゆうふり那須高雄温泉ロッジ那須温泉(栃木)約27.5
10加仁湯奥鬼怒温泉郷(栃木)約15.7

※数値は各宿の温泉分析書に記載された総硫黄(mg/kg)、または個別成分(遊離硫化水素・硫化水素イオン・チオ硫酸イオン)を硫黄換算して本記事が算出した値です。数値が公表・算出できない宿は、濃さに定評があっても今回は掲載していません。分析年・源泉によって値は変わります。加仁湯は複数源泉の混合泉のため平均値で算出しています。料金・時間・アクセスは執筆時点の情報です。

堂々の1位は万座ホテルジュラク。以下、UNWIND奥日光、元泉館、鹿の湯と続きます。それぞれの魅力を順番に見ていきましょう。

②硫黄泉とは/期待できる効能/選び方

硫黄泉とは、温泉水1kgあたりに総硫黄を2mg以上ふくむ温泉のこと(療養泉の基準。出典:環境省「鉱泉分析法指針」)。硫黄がたっぷり含まれるほど、湯は白や乳白色に濁り、あの独特の硫化水素の香りが強くなるんです。同じ温泉地でも、宿が引く源泉ごとに硫黄の量はけっこう変わるので、この記事では宿単位で数値を並べています。

期待できる効能(適応症)
温泉に期待するものといえば、やっぱり疲労回復ですよね。これは硫黄泉にかぎった話ではなく、療養泉に共通する一般的な適応症として、疲労回復のほか、筋肉や関節の慢性的な痛み・こわばり、冷え性などが挙げられているそう。さらに硫黄泉ならではの浴用の適応症として、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹といった肌の悩みが挙げられているのも特徴なんだとか(いずれも出典:環境省「鉱泉分析法指針」)。ただし、これらは医療上の効果を保証するものではないので、そこはご留意くださいね。

入浴するときの注意点

  • 硫黄泉・酸性泉は刺激が強めです。肌の弱い方・高齢の方・体調のすぐれない方は無理をしないでくださいね
  • 長湯は湯あたりのもと。こまめに休憩をとりましょう
  • シルバーなどの金属製アクセサリーは変色することがあるので、外して入るのがおすすめです

1位|万座ホテルジュラク(群馬県嬬恋村)

総硫黄約286mg/kg(公式発表値)
泉質単純硫黄泉(硫化水素型)
源泉かけ流し加水なし・加温あり
貸切風呂要問合せ
日帰り入浴受付12:30〜13:30・60分まで、大人1,500円・3歳〜小学生750円
アクセスJR万座・鹿沢口駅から西武観光バスで万座バスターミナルへ、そこから無料送迎(予約不要)

標高1,800mの高地に湧く、たっぷりの乳白色の湯が自慢の一軒。温泉分析書に記載された総硫黄は約286mg/kgと、今回調べた関東の宿のなかでもいちばんの濃さなんです。硫化水素の香りがしっかり立って、湯口まわりには湯の花が舞う、濁り湯らしい見た目も魅力。「関東で濃いにごり湯に入りたい!」という方にぴったりの一軒ですよ。

2位|UNWIND奥日光(栃木県日光市)

総硫黄約119.3mg/kg(分析書のイオン値から算出)
泉質含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し加水・加温なし
貸切風呂要問合せ(2026年8月のリブランド後は宿泊者専用の可能性)
日帰り入浴要問合せ(同上)
アクセス東武日光駅・JR日光駅から東武バスで約90分、終点「湯元温泉」から徒歩約3分

2026年8月に「奥日光小西ホテル」から「UNWIND HOTEL & BAR 奥日光」としてリブランドオープンした一軒。硫化水素の香りが強く、分析書のイオン値から算出した総硫黄相当値は約119.3mg/kgと関東でも上位クラスの濃さです。リブランド後は大浴場が宿泊者向けとして案内されているため、日帰り利用や貸切風呂を利用したい場合は、訪問前に施設へ直接確認するのがおすすめです。

3位|元泉館(栃木県那須塩原市)

総硫黄約88.5mg/kg(分析書のイオン値から算出)
泉質含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
源泉かけ流しかけ流し(日本源泉かけ流し温泉協会加盟)
貸切風呂なし
日帰り入浴受付8:00〜19:00、大人1,000円・子供500円
アクセスJR那須塩原駅からバスで約1時間、塩原温泉バスターミナルからタクシーで約15分

塩原温泉の奥、元湯温泉にたたずむ一軒宿。緑色・白色と浴槽ごとに違う色のにごり湯を持つ自家源泉を3本引いていて、湯めぐりも楽しめるんです。硫化水素の香りがしっかりしていて、秘湯らしい静けさとあわせて濃い硫黄泉を味わえますよ。

4位|鹿の湯(栃木県那須町)

総硫黄約83.3mg/kg(栃木県・那須町の公式掲示表より算出)
泉質単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し加水・加温・循環・消毒いずれもなし
貸切風呂なし(共同浴場)
日帰り入浴8:00〜18:00(最終受付17:30)、大人500円
アクセス那須町・那須湯本(那須町営の共同浴場)

開湯1,300年以上と伝わる、那須湯本の歴史ある共同浴場。青みがかった白濁の湯は硫黄の香りがしっかりで、湯温べつに分かれた浴槽を入り分けるのが名物です。宿泊しなくても本格的な硫黄泉が味わえるので、日帰りドライブや観光の途中にふらっと立ち寄るのがおすすめです。

5位|ミノヤ(栃木県日光市)

総硫黄約62.3mg/kg(分析書のイオン値から算出)
泉質含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し要問合せ
貸切風呂要問合せ
日帰り入浴要問合せ
アクセス東武日光駅からバスで約80〜90分、徒歩約5分

奥日光湯元温泉のもみの木通り沿いにある一軒。分析書に記載の成分値から算出すると、総硫黄相当値は約62.3mg/kgと関東の宿のなかでも上位に入る濃さです。貸切風呂や日帰り入浴の対応は公式サイトに明記がないため、利用したい場合は事前に問い合わせておくと安心ですよ。

6位|渓雲閣(栃木県那須塩原市)

総硫黄約52.5mg/kg(分析書のイオン値から算出)
泉質単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し源泉100%かけ流し
貸切風呂あり(庭園露天風呂は宿泊者無料、展望大浴場は貸切利用可)
日帰り入浴12:00〜14:30、1,100円
アクセスJR那須塩原駅からバスで約60分、塩原温泉バスターミナルからタクシーで約10分(送迎あり・要予約)

奥塩原新湯温泉にある一軒で、地区の共同源泉「共同噴気泉(なかの湯)」を引く源泉100%かけ流しの湯が自慢。硫化水素の香りが強く、酸性の刺激もしっかりある本格派の硫黄泉です。庭園の露天風呂は宿泊すれば無料で楽しめるので、のんびり濃い湯を満喫したい方にぴったりですよ。

7位|万座温泉日進館(群馬県嬬恋村)

総硫黄約43.1mg/kg(浴槽の分析書のイオン値から算出)
泉質酸性硫黄泉(27種の源泉を混合)
源泉かけ流し要問合せ
貸切風呂あり(宿泊者専用、45分2,000円)
日帰り入浴受付10:00〜17:00(最終受付16:00)、中学生以上1,000円・小学生700円
アクセス軽井沢駅からバスで約1時間45分、または長野原草津口駅から送迎車で約55分(要予約)

万座温泉のなかでも27種もの源泉を混合して使う、湯量豊富な一軒。公式には「硫黄濃度日本一」ともうたわれていますが、これは同じ万座温泉エリア全体の評判を指すものと考えられ、日進館の浴槽そのものの分析値ではないため、この記事では分析書から算出した約43.1mg/kgという実測ベースの数値で紹介しています。それでも十分に濃い、乳白色のにごり湯を楽しめる一軒ですよ。

8位|万座プリンスホテル(群馬県嬬恋村)

総硫黄約36.1mg/kg(2012年分析書のイオン値から算出)
泉質酸性・含硫黄-ナトリウム・マグネシウム-硫酸塩温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し要問合せ
貸切風呂あり(南館「水晶の湯・白滝の湯」、45分3,000円、日帰り利用も可)
日帰り入浴11:00〜16:00(最終受付15:00)、大人1,500円・こども750円
アクセス軽井沢駅からバスで約108分、または宿泊者専用送迎バスで約90分(要予約)

万座温泉の主要源泉「姥湯」の名で知られるエリアに建つホテル。館内には「こまくさの湯」「しゃくなげの湯」などの浴場があり、貸切温泉は日帰りでも利用できるのがうれしいポイント。分析書をもとに算出した総硫黄相当値は約36.1mg/kgで、しっかり濃さを感じられる硫黄泉です。

9位|ゆうふり那須高雄温泉ロッジ(栃木県那須町)

総硫黄約27.5mg/kg(リニューアル前・おおるり山荘時代の分析書から算出)
泉質含硫黄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
源泉かけ流し天空露天プールのみ源泉かけ流し(大浴場・露天は循環ろ過)
貸切風呂なし
日帰り入浴13:00〜22:00(最終受付21:00、火・水は15:00〜)、平日1,000円・土日祝1,200円
アクセス那須塩原駅から車で約40分

那須高原にある「ゆうふり那須高雄温泉ロッジ」(旧・おおるり山荘からリニューアル)が引く高雄源泉は、湧出量512L/分という豊富な湯量が自慢。天空露天プールでは源泉かけ流しの硫黄泉を、開放的な景色とともに楽しめます。日帰り入浴の営業時間が夜遅くまであるので、観光の帰りに立ち寄りやすいのも魅力ですよ。

10位|加仁湯(栃木県日光市)

総硫黄約15.7mg/kg(硫黄泉4源泉の平均値で算出)
泉質含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型、複数源泉の混合泉)
源泉かけ流し加水・加温なし
貸切風呂あり(貸切露天「創穹」、50分無料)
日帰り入浴立ち寄り入浴は終了。送迎付き日帰りプランのみ利用可(昼食付4,500円・昼食なし3,500円)
アクセス女夫渕から送迎バスで約25分(12:00・15:00・17:30発)

一般車が入れない、奥鬼怒の秘湯・一軒宿。さ本の源泉のうち4本が硫黄泉で、季節に応じて浴槽ごとに混ぜて使っているんだそう。この記事では、その4源泉の平均値から総硫黄相当値を約15.7mg/kgと算出しています。たどり着くまでにちょっと手間はかかりますが、そのぶん濃い硫黄泉と山あいの静けさをじっくり味わいたい方にはぴったり。秘湯好きなら一度は行ってみたい一軒ですよね。

④よくある質問

Q1. 関東でいちばん濃い硫黄泉はどこ?

関東の硫黄泉で最も総硫黄濃度が高いのは、群馬・万座温泉の万座ホテルジュラクで、約286mg/kgでした。

Q2. 日帰りで入れる関東の硫黄泉はある?

鹿の湯(那須町営共同浴場)は日帰り専門で、大人500円から立ち寄れます。元泉館・渓雲閣・万座ホテルジュラクなども日帰り入浴が可能です。

Q3. 「酸性硫黄泉」と「硫黄泉」って何が違うの?

硫黄泉のうち、水素イオンを一定量以上ふくんで酸性を示すものが「酸性・含硫黄泉」と表記されます。酸性のぶん刺激が強めなので、肌の弱い方は気をつけてくださいね。

Q4. 硫黄泉に入るときの注意点は?

刺激が強めなので長湯は避けて、こまめに休憩を。金属製アクセサリーは変色するので外して入るのがおすすめです。体調がすぐれないときは無理をしないでくださいね。

Q5. 貸切風呂がある硫黄泉の宿はどこ?

渓雲閣・万座温泉日進館(宿泊者専用)・万座プリンスホテル(日帰り利用も可)・加仁湯などに貸切風呂があります。

⑤まとめ

関東の硫黄泉は、群馬・栃木の高地に濃い湯がぎゅっと集まっているのが特徴です。今回のように成分表の総硫黄濃度で並べてみると、「なんとなく有名」ではなく「ほんとうに硫黄が濃い」宿がはっきり見えてくるんですよね。濃さで選ぶなら万座ホテルジュラク、日帰りで気軽に楽しむなら鹿の湯、秘湯の静けさを味わうなら加仁湯と、目的に合わせて選び分けるのがおすすめです。

硫黄泉は疲労回復をはじめ、肌の悩みなどにも適応症が挙げられている、昔ながらの湯治の湯。濃い湯ほど刺激も強めなので、体調と相談しながら、白濁の湯とゆで卵の香りをゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

掲載している料金・時刻・アクセス・成分値は執筆時点(2026年8月)のものです。とくに「要問合せ」としている項目や、リブランド直後の施設については、最新情報を各施設の公式サイトでご確認くださいね。次のおでかけ、濃い硫黄泉めぐりに出かけてみませんか。